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EOSはEthereumキラーとなるのか

特に海外でEOSが話題になっています。EOSは史上最大のICOとなる4300億円を調達し、時価総額はBitcoin、Ethereum、Ripple、Bitcoin Cashについて5位につけました。
EOSはEthereumと同じく、スマートコントラクト、分散アプリケーションプラットフォームですが、手数料が無料だったりスケーラビリティをもたせたりと、Ethereumの敬遠される部分を改善してきています。それ故、Ethereumキラーと呼ばれたりしています。

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EOSとは

EOSとはEthereumの対抗として開発されたDAppsプラットフォームです。Ethereumのいいところを真似しつつ、Ethereumが使いづらいところを改良しています。

Ethereumはチューリング完全のスマートコントラクトプラットフォームとして一つの大きな市場やエコシステムを作りました。しかし、最近になってオンチェーンのスケーラビリティーの問題が出てきています。また、手数料の高騰もあって、使用するのに二の足を踏む状況が続いています。
そこへEthereumキラーとして手数料無料、高速でスケーラビリティを確保したEOSが登場したのです。

EOSの特徴

EOSの特徴として、スケーラブル、ガバナンス、フレキシブル、ユーザビリティの良さが謳われています。

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スケーラブル

EOSは秒間数千のスケーラビリティー(Visaのトランザクション以上!)、0.5秒のブロック生成時間をすでに実現しているとされています。Ethereumが秒20~30程度の処理能力と15秒のブロック生成時間と比べて、圧倒的なスケーラビリティとスピードであると言えます。
しかし、まだ多数のトランザクションが発生しているとは言えない状況ですので、評価はこれからです。

ガバナンス

EOSのコンセンサスアルゴリズムはDPoS(Delegated Proof of Stake)です。EOSコインの保有者からの投票でBlock Producersを選出し、Block Producersが持ち回りでブロックを生成していきます。一般の保有者は投票権を持ち、立候補した中から選ばれた人だけがブロックを生成する仕組みは、代議制民主主義の制度に近いですね。BPになれば毎回多くのEOSトークンをボーナスとして受け取れますので、BPになるためにアピール合戦(選挙活動)が行われています。

EOSの仕組みの多くは投票ベースとなっています。大多数のBPが合意すれば、プラットフォーム上の機能の変更もできる構造になっています。
また、Block.oneにより書かれたConstitution(憲法)と呼ばれるものが存在します。問題が発生した場合はArbitrator(仲裁人)に解決を委ねるということが書かれており、自律した他のブロックチェーンとはかなり違うところです。

BitcoinやEthereumが広い分散化(非中央集権化)を目指しているのに対して、EOSは中央集権化へと今までの仮想通貨の流れに逆行しているように感じます。

フレキシビリティ

EOS上のDAppsは、BPが認めれば、コントラクトのデプロイ後にアプリケーションを停止したりすることができます。DAppsが意図しない動作によりユーザーの資金が失われたりするのを防ぐ、最終手段のようなものです。Ethereumで起きたThe DAO事件の反省を踏まえているのでしょう。

EOSは、複数タイプのVirtual Machineをサポートできるとしています。EthereumのEVM(Ethereum Virtual Machine)もサポートVMの一つです。つまり、Ethereum上のアプリケーションをEOSにそのまま移行できることになっているのですが、実際はまだ実装されていないようです。

ユーザビリティ

開発者用のドキュメンテーションが充実していたり、開発者用のツールが提供されていたりします。開発がしやすい環境が整っているのです。EthereumもTuffle等のツールが充実していますので、引けをとりませんが。

手数料無料

Ethereumは利用者がETHでGasを支払うことでアプリケーションを動かすことができます。EOSでは利用者が負担することなしにアプリケーションを利用することができます。最近はGasの支払に利用するETHが高騰していることもあり、手数料無料であることはユーザを集めるの大きなアドバンテージです。
EOS上でアプリケーションを動かすには、開発者がRAM、CPU、Bandwidthの3つのリソースを用意する必要があります。EOSトークンをStake(ロックアップ)することで、必要な開発リソースがもらえます。最近ではRAMの価格が高騰しており、Ethereumと同じくアプリケーションの稼働にかかるコストが釣り上がっている状況が起きています。

EOSはEthereumキラーとなるのか

いいことづくめのように見えるEOSですが、今後はEthereumのシェアをそれなりに奪っていくと思います。EVMの移行ツールが整えば、この動きは加速するでしょう。
しかし、Ethereumも仮想通貨業界、特にDAppsプラットフォームとしては大きな存在感を示していますし、多くの実績もあります。
EOSは実績がまだあまりなく、開発者の負担がEthereumに比べて大きいというデメリットもあります。問題もこれから多く出てくるはずで、EOSが生き残れるかどうかは、その問題をどう乗り越えていくかによるでしょう。