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「リーダーの条件」が変わった

「リーダーの条件」が変わった (小学館101新書)

「リーダーの条件」が変わった (小学館101新書)

大前研一氏のリーダーシップ論です。
大前氏の本は相変わらず具体的で、話のテンポがよく読みやすい。

目次を見ても分かる通り、社会的政治的問題の例を多くあげ、政治のリーダーについて多く語っていますが、すべての分野のリーダーに言える要素であふれています。

<<目次>>
はじめ に ― 能力なきリーダーしかいない日本の不幸
第1章〈現状認識〉東日本大震災でわかった「危機に克つリーダー」の条件
 [スピード]1週間でできない「 緊急対策」は、1年かけてもできない
 [危機管理力]組織のダメージを最小限にする工夫と判断が必要だ
 [行動力と交渉力]次世代の国家リーダーに求められる「3つの要件」
第2章〈対策〉組織を元気にするリーダーシップの育て方
 [ビジョナリー・リーダー]世界で勝つ企業は人材育成に毎年1000億円かけている
 [中間管理職〝 再生 術〟]組織を動かすには「〝 揺らぎ〟のシステム」を使いこなせ
 [新・人材教育カリキュラム]リーダーシップは〝天与〟のものではない
第3章〈比較研究〉日本が学ぶべき世界のリーダーシップ
 [イギリス・キャメロン首相①]弱冠43歳にしてトップに立ったリーダーはどこが凄いのか?
 [イギリス・キャメロン首相②]「グレート・ソサエティ」構想で活かすべき「民の力」
 [ロシア・メドベージェフ大統領]「結果を出す指導者」の驚くべき決断力と行動力
 [日本vs中国リーダー比較]国民の差ではなくリーダーの差が国家の関係を規定する
第4章〈提言〉私が「リーダー」だったら日本の諸課題をこう乗り越える
 【震災復興】「緊急度の掌握」ができなければ非常時のリーダー失格だ
 【電力インフラの再構築】原発と送電網は国有化、電力会社は分割して市場開放せよ
 【食料価格の高騰】世界の農地に日本の農業技術・ノウハウを売り込め
 【水資源争奪戦】水道事業を民営化して「水メジャー」並の競争力をつけよ
 【エコカー開発競争】劇的な低価格を実現し、世界市場で優位に立つ「新EV革命」
 【財政危機】所得税法人税ゼロの「日本タックスヘイブン化」で経済は蘇る
おわりに ― 「強いリーダー」は強い反対意見の中から生まれる

社内での役職がついたりして、自身のリーダーシップ不足を実感している人は多いと思います。
また今後ますますリーダーシップが必要になってくることを肌で感じていて、リーダーシップを身に着けたいと思っている人も多いです。
大前氏は「リーダーシップは教育によって育むことができる」と断言してくれているのはそんな人たちにとっての希望になります。

残念ながらどうやってリーダーシップを学べばいいのかということについては書いていません。
多くの例をあげてそこからリーダーとしての「テクニック」を垣間見ることができるだけです。それだけでも自分のリーダーとしてのあり方を見直すのにはいい材料となります。

リーダーシップとは一言で言えば「ビジョンを示し、人々をそこに向かわせる」ことだと思います。
では、どのようなビジョンを作ればいいのでしょう。ビジョンとはどのように作っていいけばいいのでしょう。人はどうやったらついていきたくなるのでしょう。
このような課題意識を持ちながら本書やその他の本や研修で学び、同時に現場で試行錯誤しながら身につけていくしかないでしょう。
その第一歩としてはとてもよい本だと思います。

もちろん本書内の提言に賛同できないところは多々あります。それも自分だったらどうするかと考えるいいトレーニングになります。

ところで最終章の所得税ゼロ・法人税ゼロの「日本タックスヘイブン化」は是非実現して欲しいです。
税金はストックに課税する資産課税と消費税を拡張した付加価値税だけにしてしまおうという発想です。累進課税がきつい所得の多い人にメリットが大きいので、有権者のジェラシーを壊すのが難しいのだろうな。

「リーダーの条件」が変わった (小学館101新書)

「リーダーの条件」が変わった (小学館101新書)