ブロックチェーンの進化~さまざまなアルトコインを徹底解説
ビットコインが注目されてから、多くの仮想通貨(アルトコイン)が出てきました。
アルトコインはもちろんブロックチェーンを利用していますので、仮想通貨の違いはブロックチェーンの違いでもあります。
ブロックチェーンの進化という観点からアルトコインを見てみたいと思います。
THE BLOCKCHAIN = ビットコイン
元祖仮想通貨、元祖ブロックチェーンはビットコインです。ビットコインは最初にブロックチェーンが実装された仮想通貨です。そもそもブロックチェーンはビットコインのために発明された技術なのです。
ビットコインはオープンソースです。つまり誰でもそのソースコードが利用して仮想通貨を開発することができます。ビットコインのソースコードを利用して新しく作った仮想通貨がアルトコインの始まりです。
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ビットコインのソースコードを利用
コピペでできたアルトコイン
アルトコインのほとんどはビットコインのソースコードを改良して作られています。
ビットコインを使っていると、
- ブロック生成に10分かかるのは長すぎる
- 発行枚数の上限が少なすぎる
- SHA256というマイニングアルゴリズムは専用チップが作りやすいので専業が有利
等の不満が出てきて、これらを改良しようという動きが出てきます。
最初のアルトコインはビットコインの登場から2年後のライトコインです。
ビットコインが10分かかるブロック生成を短くしようというのが主な開発動機でした。
コピペコインは実にたくさんあります。ほとんどのアルトコイン(草コイン)はコピペコインではないでしょうか。
日本発の仮想通貨である「モナコイン」もコピペコインです。
コピペといっても、ライトコインもモナコインも登場してからはビットコインとは別に、独自の進化を続けています。
ビットコイン | ライトコイン | モナコイン | |
---|---|---|---|
ブロック生成時間 | 10分 | 150秒 | 90秒 |
発行枚数(上限) | 21,000,000 | 84,000,000 | 105,000,000 |
マイニングアルゴリズム | SHA256 | Scrypt | Lyra2REv2 |
ハードフォークによってできた仮想通貨
仮想通貨の開発を続けていると、開発コミュニティ内で意見が分裂することがあります。意見の分裂をまとめられずに、コミュニティが2つに分かれたときにハードフォークが起こることがあります。
ハードフォークとはソースコードだけでなく、それまでのブロックチェーンごとコピーしてできた仮想通貨です。ハードフォーク前までのブロックチェーンは同じですから、それまでに仮想通貨を持っていた人は今までの仮想通貨もハードフォーク後にできた新仮想通貨もどちらも持てるようになるのが一般的です。
ビットコインからハードフォークしてできた仮想通貨は以下のようなものがあります。
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- ビットコインゴールド(BTG)
- ビットコインダイヤモンド(BCD)
- スーパービットコイン(SBTC)
- ライトニングビットコイン(LBTC)
- ビットコインX(BCX)
- ビットコインゴッド(GOD)
- ビットコインシルバー(BTSI)
- ビットコインウラン(BUM)
- ビットコインキャッシュプラス
- ビットコインプライベート(BTCP)
- ビットコインアトム(BCA)
- ビットコインSegwit2x(B2X)
他にもEthereumからハードフォークしたEthereum Classic等、ビットコイン以外の仮想通貨からのハードフォークもいくつかあります。
ビットコインのブロックチェーンを利用
コピペコインではブロックチェーンは新規に始まるし、マイナーもビットコインとは別に必要になってきます。人気がなくなればマイナーも少なくなり、すぐに乗っ取られてしまいます。つまりセキュリティが弱くなります。
そこでビットコインのブロックチェーン資産を活用した仮想通貨が出てきました。
これらも後述のビットコイン2.0の一種です。
アセットプロトコル
ビットコインのブロックチェーンをそのまま使ったアセットプロトコルという技術が開発されました。
アセットプロトコルというのはそれ自体がコインなのではなく、その上に独自のコインを発行することができるプラットフォームです。ビットコインのブロックチェーンのトランザクションの中に独自の暗号を忍ばせておき、ウォレットはその暗号を読み取って独自コインとして処理するのです。
ブロックチェーンはビットコインのものをそのまま使用しますし、マイニングもビットコインのマイナーが行います。ブロック生成時間が10分ということはそのままですが、ビットコインの高いセキュリティがそのまま利用できるのです。
主なアセットプロトコル
- オムニ
- カラードコイン
- カウンターパーティー
ビットコイン2.0
ビットコインのソースコードを利用せずに一から開発された仮想通貨をビットコイン2.0と呼んだりします。ビットコインにはない特殊な機能を備えているのが特徴です。
以下は主な2.0コインです。
NEM
NEMは積極的に先進的な機能を取り入れている仮想通貨です。特に有名なのがPOIとマルチシグです。
PoI(プルーフ・オブ・インポータンス)とは、ビットコインがブロックを最初に生成したマイナーに報酬を渡すPoW(プルーフ・オブ・ワーク)という仕組みであるのに対し、NEMでは最も重要度の高いアカウントに報酬を渡す仕組みです。マイニングにかかる膨大なエネルギーが不要になります。
マルチシグはトランザクションの署名を複数名でできる仕組みです。鍵を何重にもかけるイメージで、セキュリティを高めることができます。
NEMのテクノロジーは、日本の金融機関や民間企業が試験しているプライベートブロックチェーンMijinで使用されています。
Monero、DASH、Zcash
ビットコインはトランザクションが公開されています。どのアドレスからどのアドレスへ送金したかは一目瞭然です。もちろんアドレスと実在の人物を紐付けるのは難しいですが、取引所の情報等を元に調査の手がかりにはなります。
トランザクションの匿名化をさらに進めたものが、Monero、DASH、Zcashになります。
匿名性が高いがゆえにマネーロンダリングに使用される懸念があり、日本の取引所では金融庁から取扱いの許可をとるのは事実上不可能です。
Ethereum
Ethereumは仮想通貨と言うよりも、バーチャルコンピュータのようなものです。ブロックチェーンに任意のプログラム(スマートコントラクト)を書くことができ、ブロックチェーンノード上でそのプログラムを走らせることができます。これらのプログラムは、非中央集権型のブロックチェーン上で動くアプリケーションと言う意味をこめて、DApps(Decentralized Applications)と呼ばれたりします。
Ethereumコミュニティではワールドコンピュータと呼んでいて、OSのような汎用プラットフォームとも言えます。
Ethereumを見ていると、ブロックチェーンの技術も行き着くところまで来たなという印象です。
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ブロックチェーンの今後
現在数千の仮想通貨が世の中に出回っています。いくつかは当然淘汰されていくでしょう。
個人的にはTHE BLOCKCHAINであるビットコインは認知度、ユーザ数、時価総額が他の仮想通貨に比べて圧倒的に大きいので、基軸通貨として残ると思います。多くのマイナーに支えられた高いセキュリティもありますし、10分のブロック生成時間はライトニングネットワークのような別技術で解決されつつあります。
Ethereumは任意のプログラムが動かせるポテンシャルは高いものがあると思います。キラーアプリが出てくれば、クラウド(SaaS)技術のようにブレークする可能性は大いにあります。Ethereum以外の汎用プラットフォームが今後出てくるかもしれませんが、スマートコントラクト分野としては今はEthereum一人勝ちの状態です。
サイドチェーンは面白い発想の技術です。ビットコインが残れば、当然ビットコインのブロックチェーンを高機能化したいという動きは出てくると思いますので、そのときはサイドチェーンを活用することになると思います。
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